出席:粟野、鎌田、斉藤、下出、菅、高野、広川、藤原、武藤、矢野、山本、李、湯浅、
先週、日置氏のゲスト講義を欠席した下出さん、高野さん、広川さんへの概要解説を含め、冒頭、粟野がレビュー。
地面の上に乗っかっているものを透視して、古代からの地形という自然に即した街区作りを提唱する渋谷コモン・渡辺氏の講義は、普段私たちが認識している人口的な表層をはがして”脈”を意識してみる、という視点を与えて下さいました。
日置氏の講義は、都市の表層を覆っている「空気感」の来歴をさかのぼりながら、空間が場になっていくプロセスに付随する大衆文化の積層を断面で見る、という視点を与えて下さいました。
この一見すると合い交えない視点の提示をどうとらえ租借したか、各自の意見、感想を話してもらいました。
話した内容は各自、このブログに記事をたてて残しておく宿題としました。
その話のなかで、いくつか、渋谷プロジェクトの運営自体に関する意見交換が生まれましたので、そのキーワードとなった発言を記しておきます。
・渋谷を”渋谷というシステム(装置)”ととらえてみる。
・ 何(誰)に向かって何をするのかが定まらないと向かう先が見えない。
・各自の考えをもっとアウトプットする話し合いの場が必要。
これを受けて粟野から、
・渋谷区自治体に対して企画提案をして実施先を明確にする。
・渋谷のクラブを使ってのアートフェスティバル企画があるのでそれに参加する。
・実施報告展、もしくは実施そのものの展覧会を開催する。
・年度末に活動報告書(=活動記録)をウエブ、冊子で出版する。
という「目に見える」区切り目を提示。
続いて下記の提案を述べた。
・それぞれの案の中では何に向けた発信なのかは個別でよい。時間、空間、人、店。
・昨今盛んな、地域を主体としたアートプロジェクト(フェスティバル)ととらえてみて、自分が招待作家だったらどんなアプローチをするか、と考えてみると少し楽になるのでは。
・地域学が全国各地のローカルにあり、概ね学者や実務者の学者面での調査報告や知見講演、散歩ワークショップなどのようだ。マーケットやターゲットが固定的に設定されている訳ではなく、さまざまな分野からのアプローチは特に結び合うことなく併置され、何かを目指すというよりは(目指すとしたら)知識を得る、ということにほかならない。ただし知識を得ることでその土地に関して新しい魅力を発見したり愛着を持つという効果はある、すなわち教養的な役割である。
・そのようなイメージで「アート渋谷学」というスタンスで取り組んでみたらどうだろう。
・毎週の話し合いを30分議論、残りの時間で(例)「週刊渋谷学」 の編集と画像や資料収集にあててフリーペーパーとして定期発行したらどうか(”公”化がステップを踏まえた進行に機能することを期待して)。
・教員がファシリテーター(調整役)だと、Macのスクリーンセーバー(白い光が虹色の帯を振り回している)状態の関係で、意見があっても遠慮して表明しに くかったり、ヘッド・オーバーでの対話(学生同士が直接意見をぶつけ合う)が生まれにくいのではないか。
・次週からメンバーの学生がファシリテーターをつとめて、パラレルな意見交換をしやすい場にしよう。ファシリテーターはデザインマネジメントを研究している武藤君に依頼。
・次週は企画案のプレゼンをgroup内ファイル・アーカイブにアップロードしておき各自目を通しておき、それを前提にした議論から始める?
これらに関して
・企画をたてて実行する=作品制作、という枠組みは少し荷が軽くなる気がするが、”招待作家”になってしまうと出来合いのシステムに乗っかるだけのお客様になってしまいそうで、多領域の人が集まっているプロジェクトという環境が活かされない。
・ひとりで作品を作るようなアプローチより、互いにいろいろな人の意見や視点、考えに刺激を受けながらミックスして、みんなと考えて(自分が)作った、というものにしたい。
・”公”にする、”記録”する、という枠組み(ハードウエア?)よりも、何をするか、という内容(ソフトウエア?)についてもっとこだわって議論を深めるほうが、”するべきこと”なんじゃないか。
これを受けて粟野から
・アーティスト・イニシアティブ・プロジェクト
・プレイイング・マネージャー
・自分で自分の居場所を切り開く(※これは授業の最後の発言ですが)
というキーワードを提示。
最後に山本君から下記の意見提出がなされ、みんなで曖昧な部分を共通理解するための議論がなされた。
・今の流れだと科目タイトルになっている「渋谷からはじまる/渋谷にあつまる」に対して期待したイメージと離れていくような気がする。課題を設定してそれ に応える作品を作って発表する、というフレームは今までにやってきたこととあまり変わらない気がして、当初の期待との間にギャップを感じる。
これを受けて粟野から、この科目を立ち上げ、タイトルを付けた時に思い描いたイメージを話した。
・「店」や「駅」のイメージ。人々が淡々と行き交い、決して留まらない、透明な、けれどその都度確かなイメージを立ち上げ、また痕跡を残さず立ち去る、それが繰り返されている場所。人々各自にとってのイメージにより、何にでもなりうる可塑性を持つ、ゆえに固定された姿を持たない空虚な存在。誰のための定住場所でもないけれど、誰もが通る場所。
渋谷が商業地域であるとか、ターミナル駅があるとか、そういった現実とは関係なく、もっと抽象的な意味での「店」や「駅」という存在。
※今議事録書きながらの補足:空間の意味論的に、「路(パッサージュ)」や「伽藍(バザール)」 とも違う。
・次週の話し合いは、プロジェクト推進のプロセスで、相互にどこまで合意がとれているかを確認した上で、合意点から議論をスタートさせよう。ファシリテーターの武藤君はメーリングリスト等を通じて全員の合意点を確認する流れをつくってください。
・合意の段階を確認するにはスタートとゴールが設定されていないと相対的になって定まらないので、ひとまずは展覧会(展示報告会もしくはワークショップ、イベントなど)をゴールとしてみよう。
以上、本日は書記を指名していなかったので、粟野が議事録を担当しました。
自分の発言が採録されていない、発言の主旨が違う、などあると思いますので、適宜、コメントや新しく記事をたてるなどしてください。
発言中単語の間違いがあったのでここにて訂正しておきます。
返信削除×ラウンドスケープ⇒○サイトスペシフィック
渋谷じゃなきゃできない事を考えてみよう、と言いたかったのです。失礼しました。
×カオスアート⇒○カオス*ラウンジ
プロジェクト解散後の発言にて。カオスダイバーはもっと違います(笑)2010.06美術手帖P81に記事がありますよ。
第10回までのまとめと感想
返信削除前回の授業で内で意見を求められた時(6/23の回です)、
上手くまとまらなかったので、
ブログにもう一度まとめと感想を書きます。
(話すのは難しい…)
今までの何回かで、
・メンバーの基礎情報
・渋谷の歴史と今
・外と中から見た渋谷
などのことがわかりました。
そしてそれを受けた今は、
多様な街•場所•メンバーだからこそ、
何でもできる(できてしまう)、
自由なプロジェクトなのだと認識しています。
次回からは、そこで実際に何が出来るのかを絞っていく感じでしょうか。
まず、
◎5W1Hを整理する。
いつ?
どこで?
誰が?(誰に?)
なぜ?
何を?
どうやって?
これを軸に各自が考えてきて、
話し合えばはっきりしてくると思います。
…って昔ゼミで言われました(^^;
◎あとは、上記と重複しますが、
①メッセージを伝えるためにやる(他者のためにやる)
②自分達がわかるためにやる(自分のためにやる)
これを意識するかしないかで、大分違ってくる気がします。
ちなみに、私の意識は今までは②でした。
これからは、①も視野に入れていけたらいいと思います。
また両方が達成できる企画を立てられたら理想的な気がします。
至極当たり前の事なんですが、
案外この辺りがはっきりしないために私は混乱していました。
もしかしたら皆さんもそうかな?
と思ったので投稿してみました。